チャートパターン定義書 v2.0

📉 フレミングセル

Fleming Cell — 重要抵抗線ブレイク後の偽上昇(ブルトラップ)→ サポート崩壊を捉えるショート戦略

初出定義2026-03-02
v2.0 改訂2026-04-28
方向ショート(売り)
時間軸15秒〜日足(マルチ)
出典日記・音声記録 2026年2〜4月

🔴 パターンの本質

「重要抵抗線を上方にブレイク後、サポレジ転換したその線に戻り跳ね返る。しかし支持は一時的で、50%戻し程度の小反発の後に急落してサポートを下抜く。逆カップアンドハンドル、または左肩なしのヘッドアンドショルダー。」

市場の最高値・節目高値・重要抵抗線に価格が上方ブレイクアウトを試みるが、それは"偽のブレイク(ブルトラップ)"に終わる。ブレイク後に旧抵抗線(=新サポート)まで戻り、一度は跳ね返るが、そこから50%程度の戻りを形成した後に急落しサポートを完全に下抜く。このサポート崩壊がショートの核心エントリーポイント。

「天井をつけた後、一旦サポレジ部分にタッチをした後、戻して下がっていきました。このフレミングセルの戻した部分、ここが第2エントリーポイントです。」
— 20260422.md(日経平均 天井狩り分析)
「1321の日経平均が15:30でVAPで1回跳ね返って半分戻して下がっていきました。これがいわゆるフレミングセルのパターンで、VWAPがちょうどタッチしていていい感じの反発ポイントでした。」
— 20260427mon.md(日経ETF分析)
「TDKがダブルトップセルのパターンがありましたが、フレミングセルのような形にはなっていたけど1回で落ちていったパターンを拾えないという感じで、スルーしました。」
— 20260423.md(TDK分析 / 戻り売り非発生型)
逆カップアンドハンドル(Inverted C&H) 左肩なしヘッドアンドショルダー ブルトラップ(偽上昇) サポレジ転換崩壊

🔷 チャート形状の2分類

フレミングセルは「逆カップアンドハンドル」と「左肩なしヘッドアンドショルダー」の2つの視点から解釈できる。本質は同じパターンを見る角度の違い。

① 逆カップアンドハンドル(ミラーC&H)
重要抵抗線 → サポート → 崩壊 起点 ブレイク 逆カップ天井 サポ戻り ハンドル (50%戻し) ENTRY▼ 下落→
② 左肩なしヘッドアンドショルダー
ネックライン(旧抵抗線) (左肩なし) HEAD 右肩 (50%戻し) ENTRY▼ 下落↓ 左肩なし 直上昇→HEAD
🔑 解釈の統一: どちらも「重要ライン上に留まれず崩壊する」という同じ値動きを表現している。 逆C&H視点では「ハンドルの形成 → ブレイクダウン」、 H&S視点では「右肩 → ネックライン割れ」をエントリーシグナルとして見る。

📐 フレミングセルの全体波形

── 完全パターン構造図(上昇ブレイク → 偽上昇 → サポート崩壊) ──
KEY 重要ライン VWAP ブレイクアウト(偽上昇) 1波↓ ブルトラップ頂点 旧抵抗線=サポートタッチ 50%戻し (ハンドル/右肩) 戻し高値 (エントリーゾーン) 急落 BREAK サポート崩壊 ENTRY①▼ 戻し高値でショート ENTRY② 戻り売り 下落→ TP 直近安値 SL 戻し高値超え ①上昇 ②ブレイク ③タッチ ④50%戻し ⑤急落 ⑥戻り売り 前日 ブレイク当日 翌日 崩壊 戻り売り 下落継続

⚡ サポート崩壊後の2バリアント ✦ 新定義

サポートラインを下抜いた後の値動きにより、エントリー戦略が異なる2種類が存在する。

TYPE A ― 戻り売り発生型
ブレイク後に旧サポート(新レジスタンス)まで戻る → 第2エントリー
旧サポート → 新レジスタンス 戻し高値 ENTRY②▼ 戻り売りポイント ①ブレイク ②戻り ③下落継続 TP(直近安値)
2段階エントリー可 4/22 日経天井型
  • ENTRY①:戻し高値(50%戻し)でショート
  • サポート崩壊後に旧サポートまで一旦戻る
  • ENTRY②:戻り売り(押し目戻しショート)— 第2エントリー
  • RR が改善できる追加ポジションの機会
TYPE B ― 直下降型(ノーリターン)
ブレイク後に戻らずそのまま下落継続。第2エントリーなし。
旧サポートライン(崩壊) 戻し高値 ENTRY▼ 戻りなし 直下降 (一発で落ちる) TP(直近安値)
第2エントリーなし 4/23 TDK型
  • ENTRY①の戻し高値でのショートのみ
  • ブレイク後に戻らずそのまま加速下落
  • 見逃した場合は追いかけ禁止
  • 参考:TDK(4/23)— 15秒足でフレミング形成後1回で急落
⚠️ 事前に判断できないことへの対応: TYPE A/B はブレイク前に判断できない。そのためENTRY①(戻し高値ショート)を最優先で取り、 TYPE A と判明した場合のみENTRY②(戻り売り)を追加する。TYPE B の場合はENTRY①だけで十分。

✅ パターン成立条件

1
必須 — 重要抵抗線の存在
市場最高値・節目高値・前日高値・キリ番など、明確な抵抗線が存在すること。 「誰もが意識する」レベルであるほど有効性が高い。
2
必須 — 上方ブレイクアウト後のサポレジ転換
抵抗線を下から上に一度抜けた後、その抵抗線がサポートに転換していること。 この転換の確認がパターン成立の前提。
3
必須 — サポートでの一時的な跳ね返り
サポートに戻った後、一度で下に抜けず跳ね返ること。 この「一時的な支持」が50%戻しを形成する起点となる。
4
必須 — 50%前後の戻し(ハンドル/右肩)
サポートからの戻しが約50%のフィボナッチ水準で止まること。 VWAP・半値・サポレジ転換ゾーンと重なれば信頼度↑。
5
必須 — 急落による最終サポート崩壊
50%戻し高値から急落してサポートを明確に下抜くこと。 ここがパターン完成のシグナル。
6
重要 — 下落地合いであること
上昇地合いではショートは機能しない(2/26の川崎重工教訓)。 日足・週足が下向きか、少なくとも中立であることを確認する。
7
推奨 — VWAP との関係
50%戻し高値付近にVWAPが重なるとエントリーの信頼度が大幅に上がる。 「VWAP × 半値 × サポレジ転換」の3点合致が理想。
8
推奨 — 出来高の裏付け
ブレイクアウト時に出来高急増がない場合(=偽ブレイクの証拠)、 またはサポート崩壊時に出来高増加があれば信頼度↑。

📋 エントリー・エグジット仕様

項目ENTRY ①(主)ENTRY ②(副 / TYPE A のみ)
タイミング 50%戻し高値(ハンドル/右肩)での失速確認後 サポート崩壊 → 戻り(旧サポート到達)での失速確認後
方向 ショート(売り) ショート追加(売り)
根拠 VWAP + 半値 + サポレジ転換ゾーン の3点合致 旧サポート = 新レジスタンスでの再失速
利確(TP) 直近安値 / 次のサポート帯 直近安値(ENTRY①と同ターゲット)
損切り(SL) 戻し高値の上(節目+α) 旧サポートライン上(戻りが旧サポ超えなら即撤退)
RR目安 1:2 以上を確認してからエントリー 追加分は 1:1.5 以上
注意 上昇地合いでは不成立。ENTRY前に地合い確認必須。 戻りが浅い場合(50%に届かない)は見送り。

🔢 エントリー手順

📈 実例(日記・音声記録より)

日経平均 ETF (1321)
2026-04-27(月)
TYPE A ― 戻り売り発生 15:30前後 VAP × VWAP 重複
状況: 日経平均が前日からの高値圏で推移、15時30分前後でVAP(出来高価格帯)の上端に到達。

波形:
  • ブレイクアウト後に高値圏で停滞 → 旧抵抗線サポートタッチ
  • VAPで1回跳ね返り → 半値戻し(50%)まで上昇
  • VWAPがちょうど戻し高値付近に重なりエントリーポイント化
  • 急落してサポートを下抜き → 戻り売りが発生(第2エントリー)

音声記録:「VAPで1回跳ね返って半分戻して下がっていきました。これがいわゆるフレミングセルのパターンで、VWAPがちょうどタッチしていていい感じの反発ポイントでした。」
ENTRY① 戻し高値でショートENTRY② 戻り売り確認
TDK (6762)
2026-04-23(木)
TYPE B ― 直下降型 2分足・15秒足 戻り売りなし
状況: TDKが9時にダブルトップセルのパターンを形成。15秒足でフレミングセル的な形が確認できたが、戻りを待っても戻らなかった。

波形:
  • 9時に高値でダブルトップ形成(ブルトラップ的)
  • 15秒足では複数回繰り返しのフレミングセル形 → 2分足ではほぼ一直線
  • 1回で落ちていった(ノーリターン型)
  • 第2エントリー(戻り売り)なし

音声記録:「1回で落ちていったパターンを拾えないという感じでスルーしました。一応エントリーポイントとしてはダブルトップセルがあったのでエントリー候補ではありました。」

結果: 後にペナントレンジで収縮 → 2667円あたりまで下落継続。
ENTRY①のみ有効追いかけ禁止
日経平均(天井狩り)
2026-04-22(水)
TYPE A ― 戻り売り発生 日経天井形成後 第2エントリー成功
状況: 日経平均が3万4640円で天井を確認。サポレジ部分にタッチした後に戻して下落。

波形:
  • 天井(3万4640円)→ サポレジ部分タッチ → 一時的跳ね返り
  • 50%戻し(下フィボナッチ 0.618付近 + オーバーシュート)
  • 急落 → サポート崩壊 → 戻し部分が第2エントリーポイント
  • 3万4500円を軸にしたショートエントリー(フィボ0.618 + VWAP)

音声記録:「天井をつけた後、一旦サポレジ部分にタッチをした後、戻して下がっていきました。このフレミングセルの戻した部分、ここが第2エントリーポイントです。3万4500を、フィボナッチゾーン0.618あたりプラスオーバーシュートを狙っていけた感じのトレードでした。」
ENTRY② 3万4500円 ショートFib 0.618 × VWAP 合致
川崎重工業(失敗例・教訓)
2026-02-26(木)
地合い逆らいの失敗 パターン正しいが地合い問題
失敗の構造: パターン自体(フレミングセル)は理論的に正しかったが、日経平均60,000円超えの強い上昇地合いの最中にショートしたため機能しなかった。ロスカット後に同じパターンを繰り返し、計3回LC。

教訓:「相場環境が強い日のショートは、考え方は正しくても地合いの力に押し潰される。フレミングセルは下落地合いでのみ機能する。」
上昇地合い → フレミングセル無効

❌ パターン不成立・見送り条件

🌡️ 地合い確認ルール(最重要)

✅ フレミングセルが機能する地合い
  • 🟢 日足・週足がレンジ〜下向き
  • 🟢 日経平均が高値圏で横ばいまたは下落基調
  • 🟢 VWAPが価格の上側(レジスタンス)として機能
  • 🟢 同セクターの主力銘柄も下落傾向
  • 🟢 → ショートの期待値が高い
❌ フレミングセルが機能しない地合い
  • 🔴 日経平均60,000円超えなど強い上昇トレンド中
  • 🔴 週足パワートレンドが上向き(最高値更新中)
  • 🔴 VWAPが価格の下側(サポート)として機能
  • 🔴 決算・材料による急騰相場
  • 🔴 → ショート禁止(川崎重工2/26の教訓)

🔗 関連・派生パターン

フレミングセル 逆応用(ロング)
フレミングセルの下げ止まり場面を逆用してロングエントリー。 半値戻しをTPにRR1:3〜。東洋エンジニアリング3/17で+7,000円。 ≒ ピンボールリバーサルの考え方と共通。
ピンボールリバーサル
フレミングセルと逆方向のパターン。ギャップアップ後の3波失敗から ロングで跳ね返りを狙う。大足でサポートが「見えている」場合に適用。 フレミングセルの逆応用と本質的に同じ構造。
VWAPセル
VWAPが価格の上側でレジスタンスとして機能するショート。 フレミングセルのエントリー根拠のひとつ(50%戻し高値 × VWAP)として 組み合わせて使うことが多い。
ダブルトップ / N字下落(旧定義)
v1.0で定義したN字上昇→高値更新失敗→サポート割れ→戻し高値ショートのパターン。 本v2.0の「ヘッド形成→50%右肩→崩壊」に統合・拡張された。
📌 フレミングセル vs ピンボールリバーサルの唯一の判断基準: 大きな時間足(日足・週足)でサポートが見えているかどうか。 見えていれば → ピンボールリバーサル(ロング)。 見えていないか転換済みであれば → フレミングセル(ショート)。